保険 |
7.最近増える困った質問
「会社として健康保険をやめたいのだけれども、何かいい手はないか?」
長引く不況を反映して、最近増えている困った質問です。
ご存知のとおり、健康保険は厚生年金保険とペアで加入し、毎月の保険料を会社と従業員が
2分の1ずつ負担することになっています。
この会社負担分の保険料を支払うことができないという会社が最近増えているのです。
中には、毎月従業員の給料から控除している従業員負担分の保険料すら支払っていない会社もあるということです。
「保険料を払うことができないのなら、健康保険を止めてしまえば良いじゃないか」と思うのでしょうが、
これが簡単にはできないのです…
健康保険法では、「国又は法人の事業所で常時従業員を使用する事業所」は、強制適用事業所といわれ、
必ず健康保険に加入し、その事業所で働く従業員および法人の役員(取締役等の代表者を含む)は、
適用除外要件に該当しない限り、健康保険に加入しなければならない被保険者になります。
しかし、この健康保険法では、被保険者の資格喪失については明確に定義していますが、適用事業所の
脱退については明確に定義していないのです。
そこで、加入要件から脱退要件を考えると、「常時使用する従業員がいなければ、健康保険に加入
しなくてもよい」ということになります。
しかし、仮に従業員全員が退社したとしても、会社の代表者は会社が解散しない限り、常時使用される者として
会社に残ることになります。
よって、一度強制適用事業所として健康保険に加入した会社は、会社を解散しない限り、健康保険から脱退
することはできないということになるのです。
「健康保険を脱退するために会社を解散しましょう」とは言えません。
事情を説明しても、事業主はなかなか納得してくれません。景気が上向く気配は感じられません。
当分の間、私を悩ませる困った質問は増えていきそうです…
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